大山乳業組合長と岩永参院候補懇談  TPP参加は自民党の公約違反

2013年3月10日付 鳥取民報

 

 安倍首相は、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加に関して、日米共同声明を理由に「聖域なき関税撤廃(関税撤廃の例外を認めない)が前提でないことが明確になった」として参加を表明しようとしています。
 日本共産党の岩永なおゆき県書記長は2月28日、青亀寿宏琴浦町議とともに琴浦町の大山乳業を訪れ、TPP問題で幅田信一郎組合長と懇談しました。
 岩永候補は「共同声明は例外を認めたものではなく、主張する権利を認めただけで、公約違反だ」と指摘しました。
 幅田氏は「選挙前の反対は本気だったのか、政治家個人が問われる。TPPで酪農は壊滅する。一部の重要品目だけが問題ではない。非関税障壁、医療もある。強い農家だけ支援しても農村はもたない」とのべ、TPP反対運動の再構築が急がれると危機感を表明しました。
 酪農の将来が話題となり、幅田氏は「飼料、資材、燃料は高騰しているが、乳価は上げられない。消費税が上げられると、生産者とメーカーがかぶることになる。後継者の増える数より廃業の方が多い。後継者もTPPなど将来不安があり、規模拡大に躊躇(ちゅうちょ)している」と話しました。
 自民党は、「聖域なき関税撤廃が前提である限り反対」を選挙公約に掲げました。安倍首相は、そうでないことが確認されたので、公約を守り交渉に参加できると主張しています。
 共同声明は、「全ての物品が交渉の対象とされること」「『TPPの輪郭(アウトライン)』において示された包括的で高い水準の協定を達成していくこと」「TPP交
渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないこと」が柱です。
 共同声明は、〝交渉参加〟は全ての関税の撤廃を前提にしないと言っているだけで、〝交渉〟は全ての関税の撤廃をめざす(全てが関税撤廃の対象となる)=「聖域なき関税撤廃が前提」だと言っています。
 また、例外が認められるなど前提と異なる結果となっても、〝前提〟の定義は変わりません(たとえば結婚を〝前提〟につきあう場合)。参加表明が、公約違反であることは明白です。
 また、TPPは多国間交渉であり、2国間で米国が例外を容認したとしても、他国が容認するとは限りません。重要要品の関税撤廃が除外できたとしても、1品目かもしれず、期間が限定的で何年か後に関税撤廃になることもあります。
 さらに、TPPでは関税以上に重要な非関税障壁である食品安全基準、環境、保険、医療、金融、労働、公共事業の規制撤廃、米国企業の保護(米国内法がTPPより優先)、知的財産権やISD条項の導入などがあります。