【9月1日付】仁比聡平 インタビュー(上)

先の参議院選挙で3年ぶりに返り咲いた仁比聡平参院議員に、選挙後の活動や臨時国会の様子などを聞きました。

 ―当選おめでとうございます。
 仁比 選挙戦では「腕は折れても心は折れない」と力いっぱい頑張り抜きました。党員、後援会員、支持者のみなさんの大奮闘の戦いで、3年ぶりに議席を取り戻していただきました。ありがとうございました。
 全国のみなさんの頑張りがなかったら勝ち取ることができなかった比例の5議席。比例の定数は48で日本共産党の5議席目は46番目です。あと20数万票たりなければ、私の議席は自民党にとってかわられていたんです。党員がおよそ30万人。あと1票の最後までの猛奮闘が、比例五議席を勝ち取ったということではないでしょうか。 
 この議席に込められた「安倍政権の暴走を何としてもストップをさせてほしい」「暮らし、憲法を本当に守り抜いてほしい」……この願いの重み、515万数千のみなさんの思いを背負って、力いっぱい頑張り抜いていきたいと思っています。
 ―日本共産党の躍進で国会に変化はありましたか。
 仁比 新しい8人の参院議員を送りだし、非改選の3人と合わせて11人の参院議員団に躍進したことが、国会を大きく変えているということを実感しています。
 院内交渉会派として、参議院に置かれる11の常任委員会すべてに委員を配置することができました。そして、予算委員会、決算委員会、憲法審査会の三つの重要委員会には複数の委員を送ることができました。議案提案権を獲得するとともに、参議院運営の要となる議事運営委員会の理事職を9年ぶりに取り戻し、その理事の任を私が担うことになりました。
 選挙の直後に党国会対策委員会から「議運の理事をやってほしい」という話があった時は、名指しをされるなら仕方がないかと引き受けましたが、議運というのは、ほかの議員が暇な時から無茶苦茶忙しいんです。自分の心を振り返る間もなく、この場に立っているなということを痛感しています。選挙戦から、そのまま休みなしですからね。
 ―臨時国会が開かれましたが…。
 仁比 臨時国会が2日に召集され、7日に閉会しました。議運は、その1週間前から動き始めていたんです。議運というのは、各党の立ちあいや駆け引き、激しい鍔(つば)迫り合いがおこなわれるところです。私が理事予定者として参加して最初の議題が、民主党と自民党の席替え合戦です。議員控室をめぐるやり取りや、委員長ポストの争いです。大会派が委員長ポストを取るのですが、なかなか決まらない。明らかになったことは、民主党という政党が、参院選での大敗を受けて、政党としての体を成さなくなったということです。会派の役員の人事がきまらない。会長も国対委員長も決まらない、党の人事が決まらないから、国会の人事を決めるどころではないと。
 憲法審査会の委員を2人勝ち取りましたが、比例配分では難しい幹事会へ役員を送ることが出来ました。私は、自民党の筆頭理事に「かつて憲法調査会があった時代は、院内交渉会派には、幹事を割り当てるという慣例があったではないか。自民党5人の幹事のうち1人を院内交渉会派になった共産党に割り当てていただくのが道理ではないか」と談判しました。その結果、「憲法調査会の幹事は10人以上の院内交渉会派には一人割り当てる」ということが決まったんです。私がその幹事を務めることになりました。憲法を守り生かすたたかいの先頭に立って頑張ります。
 議運理事というのは理事会での活動とともに、本会議場で大きなトラブルが起こったら、檀上で大立ち回りを演じなければなりません。それがまさか招集日の初めの本会議であるとは思いもしませんでした。
 議長を選んだあと、副議長を選ぶ選挙をしてみたら、投票した議員の数よりも、投票用紙の方が3枚多かったんです。議場には240人しかいないのに、投票された用紙は243枚。しかも、参議院議員は全員がそろっていても242人なんです。242人の参院議員で有効投票が243票というのは、認めるわけにはいかないということで、場内協議が始まりました。
 自民党は、投票結果をどうするかという問題の解決よりも、だれが不正投票をしたのかという「犯人捜し」に狂奔して、「犯人がはっきりしないと前に進めない」という態度なんです。選挙手続きの最中にもかかわらず、「予備の投票用紙を掲げさせよ」とか、「予備の投票用紙に名前を書いて提出されろ」とか言って譲らないんです。
 私は、「それが参議院の本会議場での議事だというのか」と指摘し、参議院の規則に沿った解決を提案したんです。参議院には、「投票総数が投票した議員数を上回った場合、再投票する」という規定があり、「ただし、その多かった票が、選挙の結果に影響しない場合は、再投票しないことできる」となっているんです。今回の場合、議員定数よりも投票総数が多いことから、このまま投票結果を容認することはできないと、再投票を提案して議運をリードし、「さすが弁護士さん」とおほめの言葉もいただきました。
 この問題では、自民党が二重投票したことが明らかになった社民党の又市代表、沖縄の糸数議員に対して「懲罰動議」を提出しました。ここに表れている参院選で圧勝した自民党の姿勢が問題です。衣の下に着込んでいる鎧を見せつける。そのために2人をスケープゴート(いけにえ)にするというやり方は許すわけにはいきません。
 ―さっそくの大活躍ですね。中国地方と関連した課題としては。
 仁比 中国電力の上関原発計画の漁業補償をめぐって祝島(山口県上関町)で2日、その配分案採択を強行しようとして来島した県漁協幹部を住民が抗議して追い返しましたが、前日に連絡を受けた私は水産庁の担当者を呼び「こうした横暴は水産業組合法に反する」「権限を乱用した行為で許されない」「事実をきびしく調査し報告するように」と強く求めました。
 また、豪雨災害の問題では7月30日、山口県萩市へ中国ブロックの石村智子さんとともに現地調査に入り、7日には党国会議員団として政府の対応を要請しました。
 西日本17県から寄せられる住民要求の実現はもとより、憲法改悪をはじめ、消費税増税、社会保障改悪、原発再稼働など、安倍政権の暴走を食い止めるため、国会と草の根からの大きな運動を結んで頑張ります。