【1月11日付】鳥取市議会で市庁舎新築移転が可決 共産党は耐震改修促進決議提出

 鳥取市議会は最終日の昨年12月26日、市庁舎を市立病院跡地に移転新築するための位置条例が可決されました。日本共産党は、耐震改修促進決議を提出しましたが、賛成少数で否決されました。


 2010年、竹内功前市長が4月の市長選後、突如、市庁舎の新築移転方針を発表。11月の市議選で日本共産党は、耐震改修をかかげてたたかいました。


 その後、新築移転に反対する市民らは「市庁舎新築移転を問う市民の会」(八村輝夫会長)を結成し、住民投票制定条例を求める直接請求署名運動で5万人を超える署名を集め、条例案を提出しました。


 市議会は、いったん市民提出の条例案を否決したものの住民投票を求める住民の声を無視できず、「新築移転」か「耐震改修および一部増築」かの二者択一による住民投票条例を提案しました。


 12年5月、住民投票が実施され、「耐震改修および一部増築」が6割の得票を獲得し、圧勝しました。竹内前市長は、住民投票結果に従う旨を表明。ところが、耐震改修を基本とする市庁舎整備をすすめず、議会に再検討を要請しました。


 日本共産党は、市長には耐震改修をすすめる執行責任があるとして、反対しましたが、新築移転賛成派が多数を占める市議会は、市長の要請を受け入れました。


 議会が自ら提案した「耐震改修案」を検証した議会は、建設費が当初予定していた約21億円を大きく上回り、「このままでは実現不可能」との結論を出しました。


 日本共産党は、実現不可能となったのは、「議会提案の耐震改修案」であり、住民投票前に市議会が全会一致で決めた「(耐震改修案を)市民の声を聞いて見直す」ことを主張しましたが、新築移転派によってしりぞけられました。


 竹内前市長は「実現不可能な案にはこだわらない」として、新築移転をすすめ、今年4月の市長選では、新築移転推進の深沢義彦副市長が当選。耐震改修を主張した2候補の合計は、深沢市長の票を上回っていました。


 市庁舎の移転には、市議会で出席議員の3分の2以上の賛成で位置条例を可決する必要がありました。


 深沢市長は、9月定例市議会に位置条例を提案しましたが、36人中、1人退席、反対12人で否決されました。


 11月に市議選がおこなわれ、定数4減の改選後は、32人中賛成が21人で3分の2に達しませんでした。しかし、今回の提案では、態度を保留していた元職の議員が賛成に転じ、可決されました。


 日本共産党の角谷敏男議員は反対討論に立ち、①県庁本庁舎は100年使用可能であり、築50年の市本庁舎もコンクリート強度があり耐用年数65年を超えて使用可能②市当局は、新築ありきで耐震改修を検討していない③市立病院跡地は、液状化対策など事業費が大幅に膨らむ可能性がある④新築移転に市民の合意はない。市長は、まともな市民説明会を開かず、市民の合意形成の努力をしていない―と反対しました。


 位置条例可決を受けて「市民の会」の谷口肇組織部長は、「住民投票で新築移転は否決されました。どうしたら現在地で耐震改修をできるのか、検討することが市民の意思を生かした方向であり、市の役割でした。ところが、市長も議会(多数派)も、市民の意思をねじ曲げることに終始してきました。民主主義は、市民の中に根付いてきています。今後は、市政の課題に包括的に取り組む新しい『市民の会』(八村輝夫会長)に引き継ぎ、市政をチェックしていきます」と話しました。