【9月13日付】鳥取大学で「腐る経済」講演会ー田舎のパン屋がマルクスを語る

 鳥取大学で8月29日、公開講座が開かれ、智頭町で今年6月に開業したパン屋「タルマーリー」を夫とともに経営する渡辺麻里子さんが講演しました。夫の格さんは、『腐る経済』(韓国語版『田舎のパン屋で資本論を焼く』)の著者です。


 「腐る経済」は、利潤追求のためにどんどん増える「腐らないお金(商品)」に対抗して、地域の中で消費者に支えられ、生産者もパン屋も労働者も搾取しないお金(商品)が循環する経済をめざしています。


 渡辺さんは、「腐る(生分解)」には発酵と腐敗があり、どちらもモノを土に還し、生命を「循環」させる作用があると紹介。腐敗は早く土に還すが、発酵は食べ物を動物に提供するとのべました。


 天然の菌を自家採取して自然栽培原料で繁殖させ、米の酒種(酵母と麹菌)、小麦の全粒粉酵母、ライ麦のサワー種、レーズン酵母、ビール酵母の5種類の酵母で約30種類のパンを作っています。


 生命力の弱い作物は腐るが、自然栽培作物は発酵すると指摘。市場経済の「安売り」から抜け出して自立するためには、生産者の商品を価値通りに買って、職人の労働力を搾取せずに買って、自分の商品を価値通りに売ることが大事だと強調しました。