【10月18日付】鳥取環境大学が地域づくりシンポー再生可能エネルギーで地方創生

 鳥取環境大学で9日、持続可能な地域づくりについてシンポジウムが開かれました。


 環境省総合環境政策局総務課の大倉紀彰氏が「地域経済循環と環境政策」、鳥取県生活環境部循環型社会推進課の住田明信課長が県の取り組みについて講演しました。


 大倉氏は、地方の抱える課題について解説。第3次産業はGDPの75%、就業人口の67%を占めるが、「地方は付加価値額の低いサービス産業が多く、非正規労働者の比率が高く、賃金の減少や消費の減少は経済の悪循環を起こしている」と指摘しました。


 郊外型店舗の売り上げが増え、中心市街地の売り上げが減るほど、自動車依存型、二酸化炭素排出増、高齢者の交通が不便になるとして、中心市街地再生の必要性を語りました。


 域際収支(地域の取り引きの収支)の改善のためには、地域内の経済循環を拡大するために、地域外からお金を流入させ、地域外へのお金の流出を低減させることが大事で、再生可能エネルギーを促進してエネルギー代金を海外から地方に回し、地方の産業を育成するよう訴えました。


 水俣市が86億円のエネルギー代金流出対策として、地元中核企業が参画する(木材調達、発電所の建設・運転管理、電気の供給など)バイオマス、メガソーラー、小水力発電の大規模導入を事業化、中小企業の環境投資に利子補給、保証料への補助を実施、自動車依存による消費流出対策として公共交通の利用促進、中心市街地活性化のための水俣駅や温泉センターの改修で温泉客が回復していることを紹介しました。


 さらに、コウノトリ農法で栽培したコメを慣行農法の1・6~2倍の価格で販売し、コウノトリ効果で観光客が10年間で17万人から30万人に増えた豊岡市の例を紹介しました。


 所得の低い地方ほど地域内のエネルギー自給(エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの比率)のポテンシャルが高いとして、地方産業育成の可能性を指摘しました。