【10月9日付】県憲法会議が憲法学習会-護憲勢力の結集を

 鳥取県憲法会議は9月24日、米子市で憲法学習会を開きました。龍谷大学の丹羽徹教授が自民党改憲のねらいについて講演しました。
 

 丹羽氏は、憲法改正賛成か反対かの世論調査で意味をなすのは、具体的に問われている9条改憲に賛成か反対かであり、9条改憲賛成は国民の過半数に至っていないと強調しました。
 

 改憲勢力が国会議員の3分の2を占めたというが、戦争法以前は民主党内の護憲派が少なく、国会議員の8割が改憲を主張していたと指摘。戦争法反対のたたかいによって改憲派から9条改憲反対派が分岐したと評価しました。


 「もし国民投票で9条改憲反対が過半数を占めれば、国会議員の構成の正当性が失われる」と主張しました。


 立憲主義とは、憲法によって国家権力を創り出し、権力担当機関を設置し、憲法=法が支配する国家にして、基本的人権と自由を保障するために国家権力を制限し、国家に生存権などの権利保障をさせることだとのべました。
 憲法解釈は法的安定性が重要であり、政府にフリーハンドが与えられておらず、立法事実なく従来の憲法解釈を180度変えることはできないと、安倍政権の集団的自衛権行使容認を批判。抑止力強化は、武力による威嚇を強化するものであり、9条違反だとしました。


 自民党改憲案について▽前文で日本国民から日本国へ主体が逆転▽102条で国民に憲法尊重義務、公務員に憲法擁護義務(国民を従わせる義務)▽天皇の元首化▽9条で国防軍の創設、軍法会議の設置、国民動員▽12条、13条で個人主義の排除と公益と秩序の優先(国家は善で従わない国民は悪)▽24条で生存権の空洞化、自助の強調と家族観の強制▽82条2項で財政健全化条項(社会保障制限)▽9章で緊急事態条項(憲法停止)▽93条3項で地方自治の制限(対等関係から従属関係へ)などの問題をあげ、立憲主義を否定するものだとのべました。
 丹羽氏は、73条6項は政令によって義務を課し、権利を制限することが可能な条項で、内閣に(なんでもできる)白紙委任の法律をつくる権限を与えるものだと警告しました。


 また、13条で個人から人になれば、例として生活保護をあげ、人並みの最低限の生活の一律給付で済ませることが可能になり、個人の自由(酒、タバコ、パチンコ、スマホなど)が制限されると指摘しました。


 緊急事態条項を理由にした改憲に対し、大規模災害時の財産権の制限は、公共の福祉に基づく法制化でできると強調。天皇の生前退位を認める法律は、都合の悪い天皇の排除など政治利用の危険があり、定年制を考えるべきなどと提案しました。