【12月18日付】大山乳業農協組合長-指定団体解体は企業利益のため

 大山乳業農協の幅田信一郎組合長は、指定生乳生産者団体への規制改革推進会議の攻撃を告発しました。


 指定団体は、酪農家から生乳の販売委託を受け乳業メーカーと価格交渉します。生乳の販売先を調整して廃棄が出ないようにしたり、過剰時の生産調整をします。過剰時の生産調整で加工用に回される生乳は、生乳より価格が安くなるため、リスク負担への補てんとして、生産者(加工原料乳生産者)に指定団体を通じて国庫から補給金を交付します。


 総理の諮問機関である規制改革推進会議は、この指定団体に対して▽廃止▽全量委託から部分委託へ▽指定団体に加入しない自由取引農家へも補給金を交付―などの改革を提言しています。


 幅田組合長は、酪農家の97%が指定団体に加入しているとして、部分委託にしたり、未加入に給付金を交付することは、指定団体を解体へ導くことだと批判。「そんなことをすれば、すべての酪農家が小売や乳業メーカーに買いたたかれることになる」と反対しました。


 幅田組合長は酪農の現状について生産基盤の弱体化を指摘しました。酪農家戸数は前年比700戸減の1万7000戸。飼養頭数は前年比2万6000頭減の134万5000頭です。


 「エサ代が高騰したが、小売の力が強く乳価を上げることができなかった。先行き不安でやめていく農家が後をたたない。(需要、価格の面で生乳が優先されるため)バター、脱脂粉乳を3年間追加輸入することになった」とのべました。


 さらに「乳製品は貿易量が少なく、輸入に頼ることはできない。世界の消費が増えると国際価格が高騰する。国内の必要量をカバーできなくなる」と指摘しました。


 現在のクラスター事業への国の支援に加え、自給飼料への直接支払いなど国産の牛乳を守るしくみをつくってほしいと訴えました。また、消費者がカナダ(1㍑300円)のように生産者を守る取り組みを期待しました。