【3月12日付】鳥取県人権連が県と懇談-部落差別の実態調査は差別を固定

 鳥取県地域人権運動連合の佐々木康子代表世話人、田中克美事務局長らは3日、県庁で県人権局の中林宏敬局長らと懇談し、同和行政に関する市町村アンケート結果を示し、地区進出学習、隣保館運営、部落差別解消推進法などの問題点を指摘しました。


 日本共産党の錦織陽子県議、長谷川昭二・北栄町議も会員として参加しました。


 部落出身の男性(35)は「地区進出学習は部落出身者として特別扱いされることが心労だった。高校の同和教育で、結婚差別で自殺した青年の遺書を見せられ、自分は結婚できないと心の傷になった」と話しました。


 中林局長は隣保館運営で、鳥取市が解放センターを人権交流プラザにして貧困者支援のセンターを開設したこと、高知市が市内の公民館で全ての子どもを対象に学習支援をしていることを紹介し、「そのようになってほしいと市町村に言っている」と強調しました。


 田中氏は、市町村アンケートでも、差別事象は落書きや問い合わせなどで、社会問題になるような推進法の立法事実はないと指摘。部落差別実態調査は、本人の意思に反して「部落出身者」にされ、人権侵害の可能性があると反対しました。


 実態調査について、調査対象を限定する必要があり、①部落内に居住②部落外に居住―のそれぞれについて▽両親が部落出身者▽片方の親が部落出身者▽片方の祖父母が部落出身者―などの、どの範囲まで調査対象=部落出身者と認定=にするのか、行政や任意団体が認定していいのか、認定のために身元調査をしてもいいのか、実態調査が法律の趣旨に反して、新たな差別を生み、固定することにならないか、問題点を指摘しました。