【10月22日付】市谷知子県議が一般質問 国保県単位化で住民負担増やさないで

 9月定例鳥取県議会で3日、日本共産党の市谷知子議員が平井伸治知事に一般質問しました。①県管理の大井川があふれ住宅が浸水した鳥取市河原町渡一木の浸水問題②来年度実施の国保県単位化を住民負担軽減の契機に③保育所待機児童の解消は小規模保育や企業主導型保育ではなく認可保育所の増設で④EUとのEPA、TPP11推進の中止を求め、農業・農協つぶしに反対を⑤鳥取空港民営化(PFI導入)の中止⑥中部地震被災者支援―について質問しました。


 市谷県議は、午後11時ごろ女性が「胸まで水につかり、家のドアのガラスを割って逃げた」などの被害状況を報告し、大井川浸水問題で、浸水原因の究明。大井川から千代川に流す水の出口をふさぐ河原水門の操作が正しかったのか早急に検証を▽記録がなく記憶で記録をつくっている状態であり検証が難しい。行政の責任の所在が明確でなく、避難勧告もなかった。県は瑕疵を認め、謝罪し被害の全面補償を(国家賠償も)▽水位測定の機械化など水門操作、連絡体制、避難指示のあり方について改善―を求めました。


 平井知事は、被災者にお見舞いするとして被災住宅への支援を講じたことを報告。「記録がないではすまされない。責任の所在を明確にする必要がある。管理に瑕疵がなかったか解明を急ぎたい」と答えました。


 取水側の大井川の水門は閉め、放水側の河原水門(国が鳥取市に管理委託)を開け、閉めして調整していたとして、国と市が調査中で早急に原因究明に取り組み、公表すると答えました。


 浸水対策としてポンプ車を配置したいとのべ、避難指示がなかった問題について検証したいとしました。


 山口県土整備部長は、雨の中1人で水門を操作していた土地改良区の男性が「午後10時過ぎ、千代川の水位が上昇し、放水路の水位より上がったため、水がはけず、河原水門を閉めた。千代川の水位が、放水路の水位より下がったのを見計らって水門を開けた」と証言したとして、水門操作は正しかったとする一方、浸水原因の究明は急がれ、国が住民に説明するとのべました。


 市谷県議は、国保県単位化で標準保険料試算が全市町村で10万円を超える値上がりだと紹介し、国の求める保険料上昇を抑える試算(国の激変緩和措置、一般会計からの繰り入れ)の保険料試算をする▽国に財政責任を果たさせる。国の激変緩和措置(6年)の延長、支援額の引き上げ。保険料の均等割りから子どもを外し、国負担とする。特別医療費助成(1億7千万円)に対する国庫負担金減額措置の全廃▽市町村が全額負担している国庫負担金減額措置分の半額を県が負担する。「一般会計繰り入れを認めない」との県国保運営方針を改めるーを求めました。


 藤井福祉保健部長は「一般会計繰り入れや保険料は市町村が決めることなので考慮していない。納付金の総額を被保険者数で割って1人当たり保険料を出している。公費による低所得者の軽減、国の支援金1700万円+400万円、一般会計繰り入れを考慮すれば1人当たり保険料は下がる」とのべました。


 国に財政支援の増額を要望する▽子どもの均等割り除外の軽減措置は全国知事会も要望している▽国庫負担金減額措置の全廃を求める。平成30年度試算で減額措置分の県負担を検討する▽県国保運営方針で一般繰り入れを認めないという記載はない―と答えました。


 市谷県議は、保育所待機児童問題で県の年度中途の待機児童が一昨年56人から昨年82人に増えているとして、認可保育所中心で整備すること▽小規模保育の受け入れを、国方針の(3歳未満から)5歳までに拡大しないこと▽企業主導型保育所は有資格保育士が認可保育所の半分という低水準なため、事故が起こらないよう監査の徹底と公表を▽保育士の資格のない子育て支援員の配置は平成31年度で終了すること▽保育士処遇改善は月6千円にすぎず、賃金が他職種平均より10万円も安い。県独自に4千円加算を▽4・5歳児の保育士配置基準を30:1から25:1にすること―を求めました。


 木本子育て推進局長は、小規模、企業型を含め市町村の判断であり、認可保育所中心の整備は求めない▽小規模保育の5歳までの受け入れは、保育需要が大きいこと、人口増加で待機児童が発生する蓋然性が高いなどが要件で鳥取県は該当しない。県の待機児童は3歳未満が大半で3歳以上はほとんどない▽企業主導型保育の監査は県と児童育成協会のダブルチェック。職員配置、保育内容、設置基準、適切な運営がなされているか監査し公表する▽子育て支援員の活用は全施設の1割。その時点での保育士の不足状況を見て、市町村、現場、団体の意見を聞いて延長か、終了か決める▽処遇改善は国の仕事▽4・5歳児加配には県2分の1負担で5千万円が必要。市町村の足並みをそろえたいが、すべてが賛成ではない―と答えました。


 市谷県議は、農業を破壊するTPP、EPA推進を中止し、TPP、EPAの発効を条件にせずに農業支援を▽畜産・酪農の所得補償マルキンの補てん率9割への引き上げ▽農協の共同販売、共同購入に対し、農産物の販売や資材供給に民間企業を参入させ、農協を弱体化させる農業競争力強化法の撤回▽指定生乳生産者団体を通して、乳価の安い加工原料乳に補給金を支給して生乳生産調整する機能に対し、団体未加入の生産者にも補給金を支給して生乳価格の下落を招く「改革」の中止▽青色申告が必要な収入保険制度の改善と農業共済の充実―を求めました。


 岸田農水部長は、子牛価格、枝肉価格の上昇で畜産産出額は上昇しており、増頭のためにクラスター事業に加えて和牛繁殖牛導入、肥育乳牛導入、品質向上のために高能力種雄牛の造成をお願いしている▽マルキン9割補てんは、今すぐ実施を国に要望する▽農業競争力強化法は、付帯決議で農協の自主的取り組みが基本となり、県のJAグループが資材コスト、流通コストの引き下げなど147項目について自己改革をすすめている▽指定生乳生産者団体の「改革」は、集乳業者に団体同様の取り引き(最小の月でも月平均の2割を確保)計画が課せられ、団体未加入の生産者が夏は飲用、冬は加工用を中心に生産する場合、生乳の受け入れを拒否できることになり、生産調整機能は維持させる▽農業共済は残り、農家は共済か、収入保険かを選ぶ。収入保険制度は現金出納簿で「青色申告」を可能にして小規模農家も加入しやすいようにした―と答えました。EPAについては明言を避けました。


 市谷県議は、中部地震被災者への支援で住宅再建支援額の引き上げ▽倉吉市と県で家賃補助している民間アパート入居支援を1年延期▽国に一部損壊への支援を求める▽人口対策として、空き家も住宅支援の対象にして住めるようにする。100万円を上限とする耐震化支援事業の活用と周知―を求めました。


 酒嶋生活環境部長は、倉吉市の被災者への家賃補助は、倉吉市が延長を決めれば県も考える▽全国知事会で平井知事が一部損壊への支援を提案した▽空き家は住宅再建支援の対象外―などと答えました。