【7月8日付】境港市議会が島根原発3号機で決議 審査申請に〝待った〟

 中国電力島根原発(松江市)3号機の新規稼働が狙われている問題で、境港市議会は議会最終日の6月29日、「実効性ある『避難計画』を策定するまで、島根原発3号機の新規制基準適合性審査申請を行わないよう求める」決議を賛成多数で可決しました。


 決議は、島根原発の30㌔圏内に松江、出雲、境港、米子の4市などがかかり、避難対象人口が多い▽現在の避難計画では、5㌔圏内の住民が先に避難し、その後に5~30㌔圏内の住民が避難する計画だが、屋内退避では被ばくを最小限にとどめることは極めて容易でない―として、原発事故における放射線による住民の被ばくを避けることができる実効性のある「避難計画」が策定されるまで、新規稼働に向けた3号機の審査申請を行わないよう中国電力に要求しています。


 議会はまた、中国電力との間で同意権のある安全協定締結を求める陳情を全会一致で採択しました(島根原発・エネルギー問題県民連絡会などが提出した陳情6件を賛成多数で採択)。


 決議を共同提案した日本共産党の長尾達也市議は「被ばくを前提にした避難計画を認めるわけにいかない。立地自治体並みの安全協定の締結に中電は見向きもしない。議会として意思を示すことができたことは大きい」と話しています。


 中電から3号機の審査申請について「事前了解」を求められている中村勝治市長が、7月末に議会の意見を聞いて「了解」するかどうか結論を出すと表明しており、緊迫した情勢を迎えています。


 議会は7月末に中村市長出席のもと全員協議会を開き、それぞれに議員が意見を表明し、議会としての意見をまとめないとしています。中村市長が、全協を受けて判断しないよう県民世論を盛り上げることが重要です。


 政府は2030年の電源構成で原子力22~20%を見込んでいます。それをにらんで老朽化原発を再稼働させ、島根3号機の新規稼働、建設中断中の東通原発(青森県東通村)の建設再開をすすめています。


 南海トラフをはじめとした巨大地震、首都直下型地震、活火山の噴火など災害列島の日本で、大きな地震(M6以上の地震は鳥取県西部、中部、島根県西部、大阪府北部)が山陰地方で起きないとは限りません。


 2号機の再稼働、3号機の新規稼働、上関原発の建設によって原発の稼働が今後、60年~100年近く続く可能性があり、その間、国民は原発の過酷事故のリスクを抱えることになります。