【2月3日付】新温泉町で大規模風力を考えるシンポ 大門、いわぶち両参院議員が報告

 日本共産党兵庫県委員会と但馬地区委員会は1月16日、新温泉町で大規模風力発電を考えるシンポジウムを開き、約百人が参加しました。


 大門みきし、いわぶち友の両参院議員がパネリストとして風力発電をめぐる情勢を報告しました。新温泉町の中井次郎町議が新温泉風力発電事業(最大出力9万2000kW、4500kW×21基)、鳥取市の金田靖典市議が青谷町風力発電事業(最大4万kW、2千~3千kW×14基)、和歌山県有田川町の増谷憲町議が海南・紀美野風力発電事業(最大5万4000kW、4500kW×15基)について事業の概要と経過、住民運動などについて報告しました。


 事業者は、青谷は自然電力株式会社(福岡市)。青谷以外は合同会社NWE―09インベストメントです。同社は鳥取県で鳥取風力発電事業(最大16万kW、4500kW×36基)と同規模の鳥取西部風力発電事業がFit(固定価格買取制度)の認定を受けています。同社は全国で9事業を進めています。事業そのものは特別目的会社に委託します。


 同社について大門氏は、アメリカの巨大投資会社の子会社だとして「電気事業者ではなく、インフラを儲けの対象とするファンドであり、短期間で資金回収し、儲かった後は責任を取らない」と指摘。外資の投資ファンドの、住民合意を無視してすすめる▽開発で大規模な自然破壊を起こす▽土砂の崩落など自然災害を起こす―住民の利益に反するやり方は、再生エネルギーの発展を阻害するものであり、やり方自体を問う必要があると強調しました。


 ドイツのように地元の住民や自治体が事業者となって住民合意を形成し、売電収入が地元に還元されるようなやり方が、再生エネルギー開発の本来のやり方だと指摘しました。


 いわぶち氏は、外国資本が太陽光発電の投資目的で日本の森林を買っていると警告。福島でもユーラスエナジー(イギリス資本で現在13基稼働)が三大明神風力発電事業(最大3万5700kW)、アカシアリニューアブルズ(オーストラリア)が遠野風力発電事業(最大8万6400kW)を進めているとして、施設の大型化で伐採量が増え、深く掘ることになり、自然破壊が進み、騒音がひどくなる▽住民の意見を反映する機会がない▽全域が土砂流出危険個所▽沢水、井戸水、湧水など生活用水の枯渇▽低周波、超低周波、騒音による健康被害―が懸念されるとのべました。


 世帯の86%の反対署名、区長会の要望書提出など住民運動を紹介しました。


 Fit法の改正により、住民の合意形成の努力義務、地域との関係構築が強調されている▽事業計画策定の当初段階で自治体の意見を聞きつつコミュニケーションをはかる配慮や誠実な対応を呼びかけている―と指摘し、「住民合意を義務にすべきだ」と強調しました。


 新温泉風力発電事業に対する知事意見では、景観が変わりジオパークの認定へ影響▽コウノトリの保護育成への影響▽イヌワシ、ツキノワグマなど貴重な動植物への影響―などが上げられており、対応には時間がかかるとのべ、経産省も「言われないとわからないので、住民意見を寄せてほしい」と言っていると紹介しました。


 北海道のブラックアウトを教訓に、大規模一極集中から小規模分散型に発電方法を変え、再生エネルギーの地産地消を進めることが大事だと強調。地元住民や自治体が再生エネルギー開発に取り組むことで、地域内で資金を循環させ、仕事の創出、雇用創出、地域活性化につながると指摘しました。