【6月30日付】共産党 参院選勝利めざし志位和夫委員長迎え演説会 「年金7兆円削減」か「減らない年金」か大争点

 参院選(公示7月4日予定)が間近に迫った23目、日本共産党の志位和夫委員長を迎えての演説会が鳥取、松江両市で開かれました。志位氏は、市民と野党の統一候補になった中林よし子予定候補=無所属=の勝利と日本共産党の躍進を訴えました。


 演説のなかで志位氏は、年金問題が参院選の大争点になってきたと指摘。とりわけ、『マクロ経済スライド』による年金の7兆円削減か、『減らない年金』か―が問われると強調しました。


 志位氏は、金融庁の審議会が出した夫婦の老後資金として公的年金以外に「30年で2000万円が必要」とする報告書について、政府が受け取りを拒否している姿勢を批判し、「拒否しても貧しい年金という現実は少しもかわりません。現実を直視して安心の年金に変えることこそ政治の責任です」と強調しました。


 年金給付を自動的に削減するマクロ経済スライドによって、いま41歳の人が65歳で受け取れるようになるまで毎年、年金削減が続き、夫婦で30年間で1600万円(月4万4千円)が減らされると告発しました。


 19日の国会の党首討論でマクロ経済スライドの廃止を求めたところ、安倍首相が、廃止は「ばかげた案」だと拒否しつつ、同制度を廃止して給付水準を保障するには「7兆円の財源が必要だ」と唐突に言いだしたことに言及しました。


 厚労省に資料提出を求めたところ、2040年には現在の水準で25兆円になる基礎年金(国民年金)の給付額が、18兆円へと7兆円減額されることがわかったとし、「きわめて重大です。国民の年金を(年に)7兆円規模で奪うマクロ経済スライドの恐るべき姿がはっきりしてきました。基礎年金でみると、現在の満額で6万5千円が4万数千円程度へとカットされることになります」と強く批判しました。その上で、志位氏は次のように訴えました。


 「年金問題の争点は明瞭です。マクロ経済スライドを続けて、今でさえ貧しい年金をさらに貧しくしていくのか。それとも同制度を廃止して『減らない年金』にするのか。どちらが『ばかげた政策』かは、明らかではないでしょうか。安倍首相は『年金制度の安定のため』と言いますが、『制度は続くが暮らしは滅ぶ』としてはなりません」


 さらに、安倍首相が日本テレビ系の番組のなかで、共産党がマクロ経済スライドをやめるための財源について「まったく出していない」と攻撃したことを批判。「いったい、安倍首相は党首討論で、私が言ったことを聞こえてなかったとでもいうのでしょうか」と語った志位氏は、現行の年金保険料が年収1000万円を超えると増えない高額所得者優遇の仕組みとなっていること、この上限を健康保険なみに2000万円に引き上げ、1兆円の保険料収入を増やすという具体的な提案を示したことを紹介しました。


 「減らない年金」にするために、保険料が頭打ちになる上限額の引き上げ、200兆円の年金積立金の活用、賃上げと正社員化で担い手を強めるという「三つの合わせ技」で財源を確保する政策を示しました。(囲み記事参照)


 同時に、7000億円の税金を投入して年金者に一律年6万円の底上げをする政策を語りました。さらに、将来的には全額国庫負担による最低保障年金を実現するとして、「安心の年金、頼れる年金を一緒につくっていこうではありませんか」と呼びかけると、大きな拍手と歓声が沸き起こりました。


 志位氏は、候補者の一本化に向けた他の野党と市民の協力に感謝をのべ、「中林さんの勝利のために、多くの方々との協力の輪を広げ、あらゆる力を尽くします。全国すべての1人区で最大限の協力でたたかいぬき、勝利を勝ち取る決意です」と表明しました。


 比例候補の仁比そうへい参院議員は松江市で、「異常な格差をただし、99%の人たちの幸せに寄り添う政治に変えて、暮らしの希望をつくる」と表明しました。


 中林予定候補は「党派を超えた大きな力添えで、政治を変える議席として国会に送り出してほしい」と語りました。


 志位氏は、中予定林候補の衆院議員としての実績を語りました。中海を埋め立てて農地にする干拓・淡水化事業を国会で追及し続け、2002年に中止に追い込み、BSE(牛海綿状脳症)問題では、肉骨粉の輸入を認めてきた政府の責任を認めさせたと紹介。「『島根の太陽』として活躍してきた中林さんを今度は『日本の太陽』にしてもらい、国会に押し上げ、鳥取・島根から『安倍政治サヨナラ』の審判を下しましょう」と呼びかけました。


 志位氏は、暮らし、平和、原発、民主主義の四つの柱で日本共産党の提案を具体的に紹介。この中で、安倍首相が22日のインターネット番組で、「憲法を議論しない政党か、する政党かを強く訴える」と語っていることに言及し、「日本共産党は大いに憲法を議論してきたし、していく」と表明。同時に、首相に憲法を議論する資格があるでしょうか」と語りかけ、安保法制、共謀罪、秘密保護法と数々の違憲立法を強行してきました。こんなにも憲法をないがしろにしてきた首相はいない。憲法をないがしろにする首相に憲法を議論する資格はない」と強調しました。


 島根原発は日本で唯一、県庁所在地に立地する原発だと語った志位氏は、松江市をはじめ鳥取・島根両県の5市が30㌔圏内に入り、44万人が暮らしていると指摘。福島の現状との関わりからも、島根原発の沖合にある三つの断層が連動すれば巨大地震になる危険性があることからも「島根原発の再稼働は無謀の極みです。島根原発は停止したまま廃炉にすることが唯一の解決方法ではないでしょうか」と強調しました。


 鳥取県では、社民党県連合の米村正一幹事長、新社会党県本部の中宇地節雄書記長、藤田安一鳥取大学名誉教授、長谷川稔前県議があいさつ。立憲民主党の県議、国民民主党県総連合の伊藤保代表、「住民目線で政治を変える会・山陰」のメッセージが紹介されました。