【9月8日付】共産党 米子市に土地提供中止を要請 市民合意なき産廃処分場は撤回を

 県環境管理事業センターが米子市淀江町に産廃処分場の建設計画を進めている問題で8月27日、伊木隆司市長は市議会全員協議会で、県の厳正な審査さ、センターと県が住民理解を進めることを条件に、計画地の約半分を占める市有地を提供する方針を表明しました。米子市が市有地を提供すると表明したことで、たたかいは新たな局面を迎えています。


 伊木市長は2017年の6月議会で「関係自治会のうち1自治会でも合意しなかったら、米子市として合意に至っていないと判断する」と答弁していました。このほど、市が関係6自治会の役員らに聞き取りを行い、4自治会の役員らは同意を表明。2自治会の役員らは賛否があり、同意できる状況ではないと回答しています。


 日本共産党市議団は全員協議会で、市民合意のない産廃処分場に市有地を提供しないよう求めました。
 又野史朗市議は、▽市有地であり米子市全体での議論が必要▽センター理事長は説明が不十分と認めており、さらなる説明が必要▽自治会総会で協議されておらず、同意は総意ではない▽委託事業者の過去の違法操業、地下水汚染などの問題が解消されていない―として拙速な回答に反対しました。


 岡村英治団長は「2自治会が意見集約をする意向なのだから、それを待つべきだ」と訴えました。


 産廃処分場の設置計画は、これまで青谷町(現鳥取市)、鳥取市小沢見地区の2カ所で進められてきましたが、いずれも地権者・住民の強い反対運動と共産党議員の議会論戦を通じて町、市が受け入れに同意しませんでした。


 倉吉市と岩美町は、地権者の意向を聞いた市長、町長が受け入れを認めませんでした。


 住民の反対運動や議会論戦は、前述の2地区では町・市議会が主戦場でした。町・市が同意しなければ立地できないためです。


 淀江町での住民らのたたかいは、主に県と県議会に向けられました。その背景に、2地区での反対運動を受け、県が2006年に廃棄物処理施設手続き条例を制定し、県が直接関与してきたことがありました。


 この手続き条例は、事業者と関係住民との間の紛争に係る意見の調整を行うことを目的に、事業計画の事前公開、関係住民に対する説明会、住民側の意見書、それに対する事業者側の見解書のやり取りを義務付けています。


 しかし、手続き条例は、意見調整会議において①関係住民が意見の調整の応じない②関係住民が生活環境保全上の理由以外の理由により反対③事業者と関係住民の環境保全上の意見の乖離―によって、関係住民の理解を得ることが困難と認められるときは、条例手続きが終了します。


 この条例の本質は、事業者優先で〝産廃処分場ありき〟の条例だということです。このため、住民らは、①生活環境影響調査書の矛盾を明らかにし、条例手続きに入らせないたたかい②条例手続きでセンターと産廃処分場の問題点、矛盾を明らかにするたたかい③「大山ふもとの自然環境と米子の水を守る会」「水を守る住民会議」などの会を結成し、講演会やデモ行進を開催、住民らによる反対署名など住民運動④米子市に市有地を提供させないたたかい―を展開してきました。


 米子市への働きかけは、伊木市長が反対派住民と合って意見を聞きたいとしていたものの、人数、時間、傍聴などを制限したため実現しませんでした。


 5月末に条例手続きを終ると、センターが7月25日に米子市と市議会に市有地の利用を求め、8月中に結論を出すように迫りました。これに、伊木米子市長が応じたことで事態は急転。まさに、市民・住民無視の事態が進行しています。条例手続きを終えたいま、米子市でのたたかいが重要になっています。
 淀江の現計画地に産廃処分場の建設が浮上したのは、2007年に環境プラント工業が自ら運営する一般廃棄物処分場の第3期計画地に設置してはどうかと提案したことでした。


 08年5月、センターは環境プラント工業を事業主体として公共関与で処分場を設置することを決定しました。


 その後、同社は、多額の赤字を理由に事業着手しませんでしたが、12年1月、県が事業費の半分を補助し、15年の完成をめざすことでセンターと合意しました。


 共産党県議団・米子市議団は、▽計画地の選定で適地かどうかの検討がなされていない。センターの照会に淀江町(当時)が「適地はない」と回答▽2㌔下流に水道水の福井水源地があり、地下水の専門家が汚染の可能性を指摘している。設置許可を審査する廃棄物審議会に地下水の専門家がいない▽旧淀江町は同社と結んだ協定で一般廃棄物処分場以外の使用を禁じている。協定は米子市に引き継がれており、第3期計画地は協定の対象外とする主張は、協定の趣旨に反している▽6自治会の内、2自治会は同意せず、4自治会は世帯の過半数が反対署名をしている。住民合意が得られていない―と、県とともに米子市長の姿勢を批判。


 さらに、▽生活環境影響調査書に対する専門家の疑問に答えていない。地下水流向流速計の検知できない値が使用されている▽県主催の専門家会議が、住民推薦の地下水の専門家が出席できない日程で開催された▽処分場の遮水シートやベントナイト混合土も汚染物・水の流出を防げない▽廃棄物処理法は、事業者が自らの責任で廃棄物を適切に処理すること(処分場の設置)を定めており、行政が住民を説得する公共関与は法の趣旨に反する▽漁協者の漁業権が侵害されるおそれがある。県はまったく影響しないというが、被害について話し合われていない▽条例手続き、意見調整会議では、住民の意向を無視する非民主的運営がなされた▽拡大生産者責任で廃棄物の処理費を生産者が負担することで、廃棄物の減少をはかるべき▽県内の産廃の76%はリサイクルされており、半分以上を占める燃えがらもリサイクルが可能―などを主張して反対してきました。


 県に県民の声を届け、米子市を市民の側に立たせる運動がいよいよ重要になっています。