【8月25日付】鳥取労働局で最賃審議会意見陳述 中小企業支援で時給1000円に

 鳥取地方最低賃金審議会の最賃専門部会が5日、鳥取市の鳥取労働局で開かれ、意見陳述が行われました。


 労働者側を代表して鳥取ローカル・ユニオンの岡田正和氏が、民青県委員会が行った学生アルバイト実態調査アンケートを基に低賃金アルバイトの問題を報告しました。


 岡田氏は、学生26人の賃金分布( 図1)を示し、学生アルバイトの約77%が時給900円以下だとのべ、次のように分析しました。

 


 平均時給は883円で実態より高くでるため、中央値である13人目、14人目の時給850円を基準に考えました。


 中央値850円未満の学生は、時給780円~830円の10人であり、全体の約40%です。平均時給は約800円です。


 この「 時給800円」の学生について考察します。


 「 時給800円」の学生の業種は、多い順に①飲食店②コンビニ③接客・弁当屋であり、9割が飲食・接客業です。


 労働時間は、全体の平均が46・9時間です。それに対し、「時給800円」の学生は56・3時間です。


 月60時間1人、70時間1人、80時間2人が含まれています。これはフルタイム労働者の半分の労働時間に相当します。


 この長時間労働の学生は、週15~20時間の労働です。週に3~5日、1日に3~5時間働くとすれば、帰宅は夜の9時から深夜に及びます。


 そのため、▽睡眠時間が十分にとれない▽友人・恋人との交際時間が取れない―状況になっています(別の項目で、アルバイトが忙しく、休めないため、勉学の時間が取れず、授業に出られないという実態も報告しました)。


 働き方についての不満は、▽人手が足りない▽賃金が安い▽労働時間が長い▽有給が取れない―です。


 「時給800円」の学生の低賃金、長時間労働の背景に、賃金が安いために人手不足が起こり、人手不足のために長時間労働になり、休めない、辞められないという悪循環があります。この悪循環を解決するためにも時給引き上げは必至です。


 中央値850円未満の学生は、850円以上の学生に比べて労働時間が長く( 表1)、「タイムカードを操作して残業をなかったことにする」など残業代の未払いが多く、無権利状態に置かれています。

 


 岡田氏は、「仕送りもなく奨学金とアルバイトで高額な学費と生活費を賄っている学生も多い」として、ブラックなアルバイトの実態を変えていくためにも、最低賃金を時給1000円へ引き上げるよう求めました。


 また、使用者側を代表して飲食店経営の男性(43)が、「時給が引き上げられること自体は消費が多くなり歓迎する」とのべながらも、大手チェーン店が求人のために時給を1000円以上にし、時給で対抗できない地元店への応募がなくなり、経営が厳しくなっていると現状を報告。「時給900円で募集しても応募がない。時給を引き上げて人手を確保するためにも、中小業者への国や県の強力な支援がほしい」とのべました。