【10月20日付】鳥取市で自治研フォーラム 人口減少に負けない地域づくりを

 とっとり自治研究所は12日、鳥取市でフォーラム「人口減少に負けない地域づくり」第2弾を開き、約90人が参加しました。


 理事長の藤田安一鳥取大学名誉教授が鳥取県内での「平成の大合併」後の現状について基調講演。鳥取大学の多田憲一郎教授のコーディネイトでパネリストに智頭町の寺谷誠一郎町長、琴浦まちづくりネットワーク(まちネット)の四門隆会長、㈱シーセブンハヤブサの田中周事業マネージャーを迎えたシンポジウムが開かれました。


 藤田氏は、市町村合併は▽行政経費の節約▽公共機関(支所、図書館、スポーツ施設など)の節約・共同利用▽専門職員の配置▽広域的なまちづくり―など行政にメリットはあるが、住民にとっては、▽苦しい財政状況による行政サービス低下と住民負担増▽住民自治の衰退▽中心部と周辺部の格差拡大▽旧市町村の文化・伝統の喪失―とデメリットが押し付けられると指摘しました。


 特に鳥取市は8町村が市に吸収合併され、職員数が旧町村役場の743人から支所の136人に激減したと紹介。市民サービス・福祉の職員は派遣労働者に置き換えられ、官制ワーキングプアの増加、行政サービスの低下、個人情報の流出が起こっているとのべました。支所職員は「仕事が楽になった」と、まちづくりに消極的だと指摘しました。


 道州制になれば「県が廃止され、広島が州都となってお金が入り、周辺部はさびれる。税務署、裁判所、労働局、国交省、財務省、法務省、厚労省の事務所、国立大学など国の機関がなくなる」とのべました。


 寺谷町長は「SDGs未来都市」をめざしたまちづくり実践と地域資源を活用した産業育成(森林セラピーと企業研修、自伐型林業、1/0村おこし運動、百人委員会、森のようちえん)の活動を報告しました。国は地方から労働力を吸い上げ、東京の一極集中をつくってきたが、地方創生は声かけだけで実がなく、挙句の果てに町民の命を守る自治体病院までつぶそうとしていると批判しました。


 四門氏は、まちネットは琴浦町で活動する24のまちづくり団体を会員として中間支援・プロデュースする会として立ち上げたとして、カヤぶき屋根の古民家を使った農家民宿の事業計画づくりなどの活動を紹介しました。一般的な中間支援組織は、行政の下請け機関としてNPOや市民団体を垂直的なつながりで支援するが、まちネットは横につながって連携することで住民主体のまちづくりができ、町の力を引き出して(▽通常はまちづくり専任担当職員が置けないが企画情報課職員が兼務▽まちづくり団体・リーダーを掌握できる▽住民と共にまちづくり戦略が描ける)、地域活性化をはかっているとのべました。


 田中氏は、八頭町が旧隼小学校を改修した公民連携コミュニティー複合施設「隼Lab」を計画・準備段階から参画して施設を運営し、カフェ・ショップ、テナントへの企業誘致、イベントの企画、空き家のリノベーションと運営、地域資源の商品化、起業家育成などの事業をしていると報告。カフェは芝生ピクニック、テラスでのバーベキューが楽しめ、ショップは子育て世代の女性らがシェアオーナー制で運営し、Labが高齢者の憩いの場になっていると紹介しました。事業テナントは10件の起業創業が成功したとのべました。行政は内部調整、民間(シーセブンハヤブサ)は事業プラン等の提案や町内外の協力者集め、地域は自分たちのプロジェクトとして参加・支援し、イベントの共催や事業者との交流をしていると話しました。