【5月24日付】コロナ禍に紛れての検察庁法改悪 緊急事態条項の創設は許されない

 4月24日夕、JR鳥取駅北口前では「新型コロナのどさくさに紛れて緊急事態条項創設の憲法改悪は許されない」と訴える「沖縄と連帯するとっとりの会」の田中福美さんの姿がありました。


 「緊急事態宣言と緊急事態条項はちがいます。宣言に強制力はありませんが、条項には強制力があり、戦争に国民を動員することが目的です。憲法改悪に新型コロナを利用することは許されません」と訴えていました。


 ところで、いま国民は、新型コロナウイルスに対する政府の無作為によっていっそうの苦難を背負わされています。


 4月の習近平中国国家主席の来日、オリンピック(3月24日に延期決定)の開催を控えて、入国管理法5条による入国拒否(米国、中国からの入国拒否は4月3日)の措置を遅らせ、感染症法に定めのない「原則入院」で病床をひっ迫させ、日本のPSS社が製造している全自動PCR検査システムと試薬キットを導入せず、PCR検査を絞って無症状・軽症者を見逃し、医療用アルコールの6倍の生産量がある酒造メーカーに高濃度アルコール(非課税)の生産を最近まで依頼せず、外出自粛・休業を要請しても補償をせず、新型コロナを蔓延させてきました。


 コロナ渦のなかで事態を打開するために何をなすべきか、ほとんど関心がないように見える安倍首相のような人にフリーハンドを与えると、「無作為(やるべきことをやらない)による悲劇が起こる」と関西大学の村田尚紀教授が指摘(赤旗3日付け)しています。


 政府として感染爆発と医療崩壊を止め、国民の命と生活、営業を守るために持てる力を集中すべきときに、緊急事態条項を持ち出して、憲法改悪のためにコロナ渦を利用しようとし、また、保身のために検察庁法を改悪して黒川弘務東京高検検事長の定年を延長して検察トップに据えようとしていることに、安倍首相の「いかに事態を打開するか」への関心の無さがよく表れています。関心があるのは、いかに国民をコロナ渦から守り、新型コロナを終息させるかよりも憲法改悪の方です。


 政権の無能さは、国家、国民が危機的事態に直面したときに最もよく現れます。休業要請に一部の店の協力が得られなかったのは、「罰則がなかったから」ではなく、「補償がなかったから」です。そのことが解らないために、感染防止対策も経済対策(事業継続)も成功していません。成功を収めつつあるとすれば、国民の努力があったからです。


 このような政権に緊急事態条項による独裁的権限を与えることが、いかに危険か、今回の事態が物語っています。


 さて、新型コロナウイルス感染症では、現時点で欧米での死者数が多いのに比べて、日本、韓国、台湾、中国などでの死者数が2桁少ないと見られています。


 今後、来るであろう第2の感染の波に備えて、どういう対策が有効か整理しておく必要があります。


 そこで、感染防止対策で注目すべき国があります。感染爆発が起こったヨーロッパで、死亡者数を低く抑えているスロバキアです。


 ニューズウイーク15日付では、元国会議員のベブラビ氏が、スロバキアの新型コロナ対策について紹介し、分析しています。


 スロバキアは、人口545万人に対し、8日時点で感染者数1455人、死者数26人です。100万人当たりの死者数は5人で、日本と同程度です。ちなみに14日時点で米国258人、スペイン584人、ドイツ94人です。


 べブラビ氏は、公的機関の質も医療水準も高くない、スロバキアがなぜ、死者数を低く抑えることができたのか、三つの要因をあげています。


 第1の要因は、政府の迅速な決断です。最初の感染者確認から9日後に緊急事態宣言を出して、食料品店や薬局、銀行などを除く全ての商業施設を閉鎖しました。全ての空港を閉鎖し、帰国者を隔離しました。


 第2の要因は、国民が一斉に要請に従ったことでした。


 第3の要因は、メディアのおかげで全国民にマスクが普及したことでした。次期首相と次期保健相がテレビでマスクを着けてみせたことが反響を呼びました。


 振り返って日本では、安倍政権のふがいなさにもかかわらず、国民が要請に従って外出自粛に励みました。自粛率の高さやマスク、手洗いの徹底などが死者数を抑えた要因になったのは、スロバキアと同様だと考えることができます。


 これからは、有効なワクチンや治療薬ができるまでの「新しい生活様式」が大事です。▽マスク、手洗いの徹底▽人との距離を開けるよう心掛ける▽なるべく外出を控える▽満員電車や「密」の解消のために、在宅勤務や時差出勤を進める▽ライブハウス、カラオケ、接待を伴う店などは自粛する▽出入国をなるべく控える▽県をまたぐ移動を減らす▽オンラインでの会議や授業を進める▽会議は少人数にする▽オフィスの換気をこまめにする▽スマホやキーボードを使う前に消毒する▽店に入る前に手を消毒する▽体調が悪いときは出勤しない▽会話のときはマスクをする▽テークアウトの利用を進める▽食事は横並びか交互に席を置くーなどが考えられます。


 スロバキアでは、BCGを接種していませんが、多数のワクチンを混合したワクチンが接種されています。


 BCGなどのワクチンが自然免疫を高め、さらに獲得免疫を高めた可能性も専門家から指摘されています。