【9月13日付】香港の未来と若者たち 日本中国友好協会米子支部 事務局長 新庄裕子

 先般の「全人代(全国人民代表大会)」で「香港国家安全維持法」が成立し、これに基づいて早くも民主派の周庭女士が逮捕された。


 彼女は「これまで4度逮捕された中で、今回が一番恐怖を感じた」と語った。


 どのような嫌疑での拘束なのか、まるで戦前の暗黒時代の日本の「治安維持法」ではないか!


 1997年に英国から香港が返還され、アヘン戦争以来の悲願である主権の回復を達成した中国は、50年間に渡り従来の社会体制を認める「一国両制(一国二制度)の保障」を世界に宣言した。


 50年の間に、中華人民共和国の体制と旧来の香港の体制との差を、双方が具体的な生活過程での対話を通じて、相互に歩み寄るという「香港基本法」の精神を踏みにじる法律である、と言わざるを得ない。


 香港では、中国大陸の資本流入や観光客の増加による物価高騰、大学進学の困難化、特に住宅価格の高騰はひどく、香港島のマンションが1平米当たり平均252万円という。若者たちの不満、反発は十分理解できる。


 香港独占資本は、政府の公共住宅の供給を妨害してきた。香港市民の生活苦の真実の敵は香港財界と見るべきかもしれない。


 前回、選挙制度をめぐる闘いでは「民主派」と対抗する立場だった香港財界は、「逃亡犯条例改定案」では大陸からの不正送金などの悪事で逮捕されることを恐れ、若者たちの運動に同調した。


 その後、香港政府が同条例案を撤回し、運動は縮小していった。


 現状を変えたい若者たちが、暴力的方法ではなく、香港市民の支持のもと大きな運動の流れをつくれるかどうか、見守りたい。


 中国が、「国家安全維持法」を撤廃し、香港問題が平和的に解決することを願う。