【9月13日付】鳥取市などに大規模風力発電事業計画 健康被害や災害・自然破壊を懸念

鳥取県では、大規模風力発電事業計画が鳥取市と県西部で進められています。いずれも日本風力エネルギーが事業者で高さ150㍍の大型風車(4500㌔㍗)をそれぞれ約30基(出力約14万㌔㍗)建設する計画です。


 鳥取市では、4地区の6集落が立地集落で対象エリアは約4000㌶になります。立地集落は賛否が分かれ、地域振興のために賛成する集落があれば、健康被害や災害を懸念して地区をあげて反対するところもあります。


 明治地区では6月下旬に「明治のいのちを守る会」を結成し、反対署名に取り組んでいます。


 同会は地区区長会、明治郷づくり協議会との連名(地区の社協、老人クラブ、体育会など5団体が賛同)のビラを発行し、他地区にも運動を広げています。


 同会が大型風車建設に反対する理由は、▽騒音、低周波、超低周波による睡眠障害などの健康被害。1㌔圏内に小学校があり多くの住民が住む▽土石流や急傾斜地崩壊の危険区域があり、大規模な土木工事、道路工事は自然破壊、土砂災害につながる▽生態系が破壊され、風車によって山を追われた野生動物による食害など農作物被害が広がる恐れがあるーなどです。


 鳥取市の空山には鳥取放牧場風力発電所があります。1000㌔㍗の風車が3基あり、2006年に運用を開始し、15年目です。年間施設利用率=年間発電量÷(発電設備容量×365日×24時間)×100は16~19%です。年間発電量は平均約470万㌔㍗で、買取価格が1㌔㍗当たり税抜きで18円なので売電収入は8460万円です。総工事費が約8億円で大きな事故がなければ10年で返せます。総工事費が上がって12億円だとしても15年です。ただし、空山の風車が風速3㍍以上で発電するのに対し、大型風車は12㍍以上の風が必要で、施設利用率がかなり落ち、採算割れする可能性があります。


 5日には、対象地域の地元紙に「明治のいのちを守る会」「明治地区区長会」「明治郷づくり協議会」「明治小学校PTA」連名のビラが織り込まれました。


 健康被害、災害、自然破壊の他に、▽幼稚園、学校、病院などの影響を受ける施設の関係者に知らされていない▽発電には風速12㍍以上の風が必要だが常には吹かず、落雷や台風による施設破損があり、稼働率が悪い▽修繕費が常に発生し赤字が多い。1基当たり3~4億円の解体撤去費用を誰が負担するか決っていないーなどを指摘しています。