2018年総選挙の結果

★総選挙の結果と総括について

 

1、総選挙の結果について

 

 ○ 総選挙の結果は、掲げた2つの目標に照らすと、市民と野党の共闘では、共闘勢力の議席が38から69に躍進し、立憲民主党が野党第1党に前進する重要な成果を上げました。これは分断と逆流を乗り越え、共闘で政治を変える新たな展望を示したものとして、歴史的意義を持つものです。日本共産党自身の結果では、沖縄1区の赤嶺政賢さんの再選があったものの、比例で中国ブロックの大平さんの議席を失うなど、20から11への議席後退となりました。県内でも、比例で前回から5897票減、小選挙区も1区で2059票減、2区で前回並みと全体として残念な結果となりました。選挙戦の中で、安倍政権への強い批判、共産党への注目と期待の広がりを実感しましたが、それを得票に結びつけることができなかったのは、私たちの力不足によるものです。

 

ご支持いただいた県民のみなさん、党の前進のためにご奮闘、ご協力いただいた後援会員、読者、党員のみなさんに感謝申し上げるとともに、期待に応えられなかったことを、県委員会として心からお詫び申し上げます。

 

 今回の総選挙は、暴走を続ける安倍政権への強い批判を背景にたたかわれました。自公の与党は県内でも比例票をあわせて5,000票減らしました。小選挙区の1区で石破氏が得票を伸ばしたのも、同氏の反安倍姿勢への評価が要因の1つと思われます。共産党は安倍政治への最も断固とした批判者として論戦の先頭に立ち、暴走政治を追い詰めるうえで大きな役割を果たしましたが、安倍批判票の受け皿は比例では立憲民主党や希望の党となり、両党の得票合計が自民党を上回る結果につながりました。

 

県内で自民党は、2000年以降、総選挙の比例票を毎回連続的に減らし、2000年比で77%(27,807票減)に後退しており、公明党の2003年からの連続後退と合わせて、与党勢力の凋落が続いている点は重要です。「自民大勝」は事実と違い、民意を歪める小選挙区制、野党共闘破壊、争点かくしの3点セットでつくりだされたものです。

 

2、共闘崩壊の危機を打開し共闘勢力の躍進を支えた、日本共産党の役割の歴史的意義

 

 今回の総選挙は、野党共闘を全国的規模で追求する初めての国政選挙となり、党綱領が規定する統一戦線で政治を変えることに挑む、歴史的政治戦となりました。共闘の経過と到達は県や小選挙区ごとに様々であったことから、中央段階の経過と結果を踏まえて、その歴史的意義を全党的な確信にすることが大切です。3中総は、安倍政権が追い詰められて解散に打って出たとき、希望の党の誕生と民進党の合流・解党で共闘が崩壊の危機に瀕したとき、立憲民主党が誕生し共闘が再構築されたときの3つの局面で、わが党がどう対応したかを明らかにして、この判断と奮闘が市民連合の動きとあいまって、共闘の崩壊を阻止し、改憲勢力によって日本の政界が覆われる重大な危機を打開した、その歴史的意義を解明しました。わが党のこの判断と対応は、安倍政権の退場を願い、市民と野党の共闘の発展を切望した多くの人達から高く評価され、県内でも「志位委員長には、日本を守るための身を捨てる覚悟を感じました。共産党は常に市民の立場に立って考えていると感じます」(山中幸子エネ・ミラとっとり共同代表)など熱い共感の声が寄せられています。そして3中総は、「日本の政治を変えるには、この道しかありません」「統一戦線によって社会変革を進めるというのは、党綱領の大方針であります。今後も、共闘の前途には、さまざまな困難や曲折が予想されますが、わが党は、いったん踏み出した共闘の道を、多くの方たちと手を携えてとことん追求し、安倍政権を打倒し、自民党政治を終わらせ、野党連合政権をつくるため全力をあげる決意です」と宣言しています。この確信と決意を県党全体のものにして、新たな前進に立ち向かいましょう。

 

 県内では、昨年の参院選直後から他党との協議を重ね、共闘合意目前までいきましたが、2区の湯原候補の希望入りで破綻する結果となりました。無所属の長谷川県議や藤田安一鳥大名誉教授などが呼びかけた野党共闘を求めるアピールの会が、民進党と共産党に共闘を要請するなど、市民の側の動きもありましたが実りませんでした。県内の野党共闘は、鳥取市と倉吉市で行った、市民と共産、社民、新社会の3野党の合同街頭アピールなど、限定的なものとなりましたが、長谷川県議や市民運動のメンバー、無党派の文化人など幅広い方たちが、野党共闘をブレずに進める共産党の前進をと、これまでにない関わり方で力強く支援していただいたことは、今回の選挙戦の新しい特筆すべき特徴となりました。より強まった他の野党との信頼関係や、新しい友人が広がり、無党派の方たちとの絆が強まったことなどは、開始された共闘時代の今後を展望すると、県党にとってかけがえのない財産になったことは間違いありません。

 

3、共闘勝利と党躍進を同時に勝ちとるために、打開すべき課題と方針

 

 ○ 歴史上初めて全国的規模で共闘の選挙をたたかった今回の政治戦の総括では、党綱領に立ち返って、課題と対策を明らかにする必要があります。綱領では、統一戦線による変革の路線を規定した413節で、統一戦線が勝利する条件として、「日本共産党が、高い政治的、理論的力量と、労働者をはじめ国民諸階層と広く深く結びついた強大な組織力をもって発展することは、統一戦線発展のための決定的な条件となる」としています。野党共闘でたたかう選挙は今後も続く長い過程となります。選挙戦の狭い枠内だけでなく、綱領が提起する党建設と党活動全体を視野に入れて検討を深めましょう。

 

 比例票を大きく後退させた今回の選挙結果は、まともな共闘相手の政党が生まれるもとで、共闘を進めながらわが党の前進をどうかちとるかという、新しい課題を提起しています。これを乗り越えるためには、「他に選ぶ党がないから」という消去法でなく、党を丸ごと理解し「共産党だから支持する」という、積極的支持者を増やす日常活動を抜本的に強める必要があることを、3中総は提起しています。この点で、これをすすめる軸となる「集い」の開催が、県党では一部の支部で散発的に取り組まれるだけで、日常活動として定着していません。党大会が「日本列島の津々浦々で」と呼びかけた「集い」を、選挙の時だけでなく、日常の党活動の軸に据えて繰り返し開き、「『集い』に強い県党」に前進しましょう。そして、党名問題や北朝鮮や中国との関係、政権担当能力があるのかなど、国民の中にある疑問や不安に答え、党綱領の日本改革の方針や未来社会論、平和と民主主義を一貫してつらぬいた95年の党の歴史など、党を丸ごと理解してもらう活動を抜本的に強めましょう。

 

 ○ 対話数が得票目標にも及ばなかったことなど、宣伝や組織活動の不十分さの根本に党の自力の低下があることは、選挙をたたかった県内の党機関と支部の全てが痛感しています。比例得票で当選圏内の11位以内に入った自治体が、鳥取市、岩美町、若桜町、日吉津村、南部町、日南町の6つありますが、いずれも党員や読者の有権者比が高いところです。全県的な党勢は、前回比で党員が92.0%(東中86.1%、西97.2%)、日刊紙99.2%(東中103.5%、西94.4%)、日曜版95.1%(東中95.0%、西95.2%)で選挙をたたかいました。世代継承の立ち遅れによる党の高齢化は、選挙をたたかう力の低下に直結しました。党の力を余すことなく発揮する点で、大会決定の読了が4割、全国決起集会(2中総)討議支部が62%と、選挙をたたかう方針が支部と党員に行き届かないままのたたかいになりました。党機関の態勢の弱さ、選挙を担う幹部層の薄さは、今回のような複雑な情勢下で攻勢的にたたかい抜く上で制約となりました。これに関連して、県と地区の選対本部の態勢と任務分担で、支部への政治指導が行き届くことを何よりも重視して、必要な改善をはかることも今後の課題です。

 

開始された「共闘の時代」に、野党共闘の勝利と共産党の躍進という2つの課題をやりとげるためには、党綱領が提起する「強大な組織力をもって発展する」党の建設に全力をあげる以外に道はありません。自力づくりを成功させる方針は、「楽しく元気の出る支部会議」「地区委員会活動の強化」を提起した大会決定に示されています。大会決定の全面実践に、新たな決意で挑戦しましょう。

 

4、選挙活動をどう日常化するか

 

 選挙活動をいかにして日常化するかは、瞬発力が弱まる党の実態からも、期日前投票がひろがり、県内でも投票者の37%にまで増える有権者の動向からも、避けて通れない問題です。

 

 比例代表選挙を軸に据える方針は、これまでも常に強調されてきましたが、比例の宝の議席である大平さんの活動や実績が、広い有権者はもとより、党内や後援会の中でもよく知られていない状況があるなど、方針と程遠い実態がありました。この改善をはかるとともに、比例での前進を、選挙だけでなく、要求活動や宣伝活動、党勢拡大など全ての活動の軸に据えて、それぞれの課題をどこまで進めるのか、目標と計画をもって日常的にすすめるようにします。次の総選挙での比例議席奪還を正面にすえ、その立場から国会議員団事務所の態勢と活動を抜本的に強化します。

 

 選挙を通じて政治を変えるという党綱領の立場からも、選挙活動の日常化の要として、後援会活動の本腰を入れた強化・発展が求められます。総選挙では、長谷川県議が比例カーの弁士として訴えるなど、党外の無党派の方たちの協力がかつてなく広がった一方で、選挙をたたかう基本部隊の後援会をみると、単位後援会がない支部が多く、タテ線後援会も一部を除いて開店休業状態で、後援会員や読者への協力依頼は一部を除いて、きわめて不十分でした。市民が主権者として、政治と選挙に自主的に関わる流れが広がるもとで、これに逆行する事態となっている後援会活動の強化・発展をはかることは、選挙活動を日常化する土台であり要です。①単位後援会の確立と活動の日常化、②後援会ニュースを通じた結びつきを、心通う人間的な結びつきに発展させる、③新しく発足する「JCPサポーター制度」を成功させるという、3中総が提起した3点で促進をはかります。

 

5、3中総を全党の確信に、19年参院選と統一地方選、来年集中する中間選挙勝利へ総力を

 

 3中総は開始された「共闘の時代」をたたかう方針を明らかにして、新たな展望をしめす歴史的決定となりました。綱領に立ち返り、3中総を大会決定とあわせて深く学び、県党全体に政治的確信をひろげて、次の全国的政治戦となる2019年の参院選と統一地方選、県内で来年連続する中間地方選で勝利・躍進するため、決意を新たに奮闘しようではありませんか。

 

★総選挙の得票結果