【3月8日付】鳥取市でブナ林シンポ-深刻なシカの植生被害に対策を

 河合谷高原の森林復元を考える会(作野友康会長)は2月28日、鳥取市でブナ林シンポジウムを開きました。東京農工大学大学院の梶光一教授が「増え続けるニホンジカとどうつきあうか?」と題して特別講演し、深刻な植生被害をもたらすシカの増加を真剣に食い止める国の対策が必要だと訴えました。


 同シンポでは、元県林業試験場研究員の井上牧雄氏が「森の動物よもやま話」、鳥取大学農学部学生の石川貴大氏が「扇ノ山におけるブナの更新洋式」と題して講演。「考える会」の土井倫子氏が活動報告しました。


 梶教授は、シカは自然の復元力を超える破壊力を持っていると指摘。洞爺湖の中島で3頭のエゾシカが年率16%で増え、約300頭で食料が尽きて群れが崩壊(冬の主な食物のササを食い尽くし、餓死と捕獲・移動で個体数が半減)したが、その後、不嗜好植物のハイイヌガヤやハンゴンソウ、落ち葉を食すようになり400頭以上に増えたこと、知床岬では年率20%で増えていることを報告しました。


 また、落ち葉だけでも体を小さくして50頭の群れを維持できるとのべ、下層植生の消失による裸地化、農作物や樹木(樹皮はぎ、枯死木の増加、小径木の消失)などの被害が広がっていると警告しました。


 シカ増加の背景について①個体数の過小評価。温暖化で越冬が容易になった。オオカミなどの捕食者の欠如②狩猟者の激減③資源管理の仕組みの欠如④持続的資源利用の仕組みの欠如⑤広域管理の欠如などをあげ、「シカが年間で増加する固体数の半分しか捕獲していない」とのべ、総合的な野生動物の管理と管理専門官の育成、資源利用と狩猟者育成、施柵によるシードバンク保護など国施策の抜本的転換を求めました。


 井上氏は、シカが増えた原因について広葉樹林を伐採して針葉樹を植林した拡大造林により、成長過程での森林管理で草地が出現し、林道の法面に牧草が植えられるなど、豊富な餌を確保できたこと、水草まで食べるなど食域を広げたことなどをあげました。


 会場から、「自衛隊を導入してシカ狩りをしてはどうか」「オオカミを導入してはどうか」「シカ牧場をつくってシカ肉を安定供給してはどうか」などの意見が出ました。


 現役の猟師でもある井上氏は、「素人である自衛隊員には無理」「野犬の群れによるシカ狩りが報告されているが、追い回して一カ所にとどめないことが植生の消失防止になる」と答えました。


 梶教授は、「自衛隊の基地・演習地でまず自衛隊員自身が狩りを実施して、腕を磨くことが先」「オオカミを再導入・保護している米国のイエローストーン国立公園では、オオカミの管理に莫大な費用がかかり、シカ対策の決め手とは言えない。犬を野に放すことは法律上できない。猟師に頼るしか方法はない」「かつて北海道はシカの缶詰を輸出していた」と答えました。


 作野会長は、ニュージーランドではシカ牧場がありシカ肉を供給していたと話しました。