【9月17日付】全日農夏季講座 自民党農政の転換が必要

 県の岸田悟農林水産部長は8月26日、全日農県連合会の夏季農業講座で「県農業の中間ビジョンと政策」について講演しました。


 岸田部長は、2015年までの30年間で農家数、農業産出額は半減したと報告。県の考える打開策について語りました。


 鳥取の誇る農産物について生産量全国1位のラッキョウ、白ネギ、大山ブロッコリー、大栄スイカ、梨の新甘泉、垣の輝太郎、芝、畜産物について鳥取和牛オレイン55、豚の大山ルビー、鳥取地鶏ピヨ、白バラ牛乳を紹介しました。


 ハウス栽培のコストを下げるために鳥取型低コスト(1・5倍の強化パイプを使って間隔を1・5倍にした結果、コストを3割減らし、豪雪に強くなった)の導入をすすめたいとのべました。


 国が米の生産調整をやめるなか、各JAが県内外の需要(米屋、卸し先の取り扱い量)を確保し、それに見合った作付面積を割り当てる方針を示しました。


 スーパー種雄牛「白鵬85の3」号、「百合白清2」号の精液販売収益1億5000万円を使って繁殖雌牛の購入に3分の2補助、子牛セリ平均価格で全国初100万円を超えたものの、高値のため県内で肥育できないため、ブランド化をめざして子牛の購入に支援したいとのべました。


 牛乳の生産量が落ちている問題で5万6000㌧の生乳生産量を以前の6万5000㌧に引き上げるために、生乳を増産した農家に大山乳業と折半で1㌔当たり6円補助(乳価に上乗せ)していると紹介しました。


 しかし、問題は、畜産農家が減少の一途をたどり、TPP加盟が前提の肉用牛肥育経営安定特別対策事業(粗収益と生産費の差額の8割を補てん)が使えず、子牛の値段が高騰し、ブランド牛を扱う農家も増えず、また、果樹も主力の梨農家が減少の一途をたどり、一部のブランド品に頼る県の農政は行き詰っていることです。


 農業を市場任せにせず、米の生産調整で米価を維持し、再生産価格と販売価格の差額を補償(不足払い制度)、多面的機能に対する所得補償(戸別所得補償や直接交付金など)で米作りを支援し、他の作物も価格保障するなど、全体の押し上げが必要です。


 そのためには、米の生産調整と直接支払いをやめ、米の価格を自由競争に任し、日欧EPAで乳製品を〝自由化〟し、金融・信用部門から准組合員を締め出すなど農協解体を推し進める、国の農政の転換が必要です。